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女性不妊の新治療 月経血の幹細胞を使う子宮内膜再生増殖法

はらクリニック・原利夫院長(提供写真)

 そして、標準着床時期の2~5日前に、培養でできた上清液を患者の子宮内に注入する。注入から3~4日目にエコーで子宮内膜が厚くなったことが確認できたら、事前に体外受精で凍結しておいた受精卵を子宮内に戻すといった運びだ。

「対象となるのは、体外受精に何度も失敗していたり、内膜の状態が悪く着床不全の疑いなどと診断されている人。ですから、だいたい35歳以降の患者さんです。ERPは子宮内膜を新しく再生し、着床環境を改善する治療ですが、さらに上清液中には胚(受精卵)の成長を促進する物質が含まれていることも確認されています」

 原院長がERPの研究を始めたのは、3年前に海外発表された月経血幹細胞移植の文献に出合ったのがきっかけ。約20人のボランティアに参加してもらい1年かけて、月経血の採取量や培養期間などの基礎研究を行った。

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