しかし、患者が中心となり、患者が自主的に集まって歌う会は他にはあまり聞きません。このような歌の会の復活はとても無理なのですが、何かとても大切なものを、大切な仲間を失ったような気がしています。
事務のAさんが「再開する時のために」と残してくれた歌詞集が今も私の手元にあります。「ノスタルジア」だと嘲笑されそうですが、「どこかで春が」「みかんの花咲く丘」「あざみの歌」「里の秋」など、偶然、知らない患者同士が一緒に歌った曲目は658曲に上ります。
あの頃、病気と闘い、泣いて、笑った「歌う仲間」がいたのです。
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