ですから健康診断でなにか持病が指摘されたら、いまのうちからケアしておくことが大切です。
とくに糖尿病、高脂血症、動脈硬化などは、ケアしておいたほうがいいでしょう。いまは大丈夫でも、いずれ人工透析や脳梗塞や心筋梗塞につながるかもしれません。そうなると体力や運動機能が悪化して、一気に老け込んでしまいます。
もちろんがんも二次性サルコを引き起こす原因になります。手術を受けると、傷を回復させるために、体は大量の栄養を必要としますが、術後すぐに食事で補給できるとは限りません。そんな状態で術後の抗がん剤や放射線治療を受ければ、さらに栄養補給が難しくなって、かえって命を削ってしまいます。
そのため最近では、「栄養サポートチーム」を組織して、患者の食事指導を積極的に行う病院が増えてきました。運悪くがんにかかったときは、単に手術数だけでなく、十分な栄養指導が受けられるかどうかも、病院を選ぶ基準にするべきです。
いまの高齢者は、だいたい80歳前後からサルコっぽい人が増えてきます。それをもとに考えると、いまの中高年は80代後半ごろからサルコ年齢が始まるはずです。しかしいまから備えておけば、それを90歳前後まで先延ばしできるかもしれません。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。