市販薬との正しい付き合い方

セルフメディケーションが機能するには定期健診が欠かせず

定期的に健診を受ける

 しかし、1997年にファモチジン(ガスター)、シメチジン(タガメット)、ラニチジン(ザンタック)がスイッチOTCとなって以降、急激に胃がんの発生率が高まったということは報告されていません。「薬で症状をマスクしてしまうことは重篤な病気の発見を遅らせる」という危惧はあくまで取り越し苦労であったということかもしれません。そうした懸念が払拭されてきていることもあり、そろそろOTCとセルフメディケーションがもっと普及していってもいいように感じます。

 もちろん、病気になる潜在リスクは誰にでもあるものです。ですから、医療が進歩してきた現代においては、やはりまずは病気の「早期発見・早期治療」を励行すべきでしょう。セルフメディケーションがしっかり機能するのは、あくまで「定期的に健診を受ける」という前提があってこそ。これを忘れてはいけません。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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