去年の夏ごろから全米で大ブームになっているマリフアナからの抽出成分CBD(カンナビジオール)。リラックスはできるけれど、嗜好用のマリフアナのように、ハイにならない――ということで、CBD入りのさまざまな食品が発売。マリフアナが合法化されていないニューヨークなどの州でも、CBDに限ってはOKとされ、大ヒット中です。
ところが最近、ニューヨーク市衛生局が突然NGを出し、波紋を呼んでいます。
今月初め、CBDを含むクッキーやブラウニーを売るベーカリーや、CBD入りコーヒーなどを出すレストランなどが、何の前触れもなく市の衛生局の抜き打ち検査に遭いました。商品は押収され、今年7月以降は650ドル(約7万円)の罰金が科せられるとのことです。
理由は、CBDがストレートに違法だからというわけではありません。CBDが100%合法なのは、マリフアナが合法化されているカリフォルニアなどの8つの州。ニューヨークでは医療目的に使われる場合は合法ということになっていますから、厳密にはスイーツなどに使ってはいけないことになります。
ここでややこしいのは、CBD(食品に加えられるのは、ほとんどの場合がオイル状)には、マリフアナ由来のほかに、ヘンプと呼ばれるマリフアナの仲間から抽出されたものもあるからです。このヘンプはもともとハイになる成分はほとんど含まないので、全米で合法。つまり、ヘンプ由来のCBDは100%合法なのですが、ほとんどのアメリカ人は2つの植物の違いを認識していません。
そこで、ニューヨーク市衛生局は「どちら由来であっても、CBDは食品添加物として認可されていない。だから安全性が証明されるまでは取り締まる」とコメント。この措置は他の州にも広がると予測され、ブームに水を差す動きに混乱が広がりそうです。
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