「がん家系」に生まれて

がんのはずはないという医師を説得し大腸内視鏡を受けた

モデル・美肌温泉家の朝香さん
モデル・美肌温泉家の朝香さん(C)日刊ゲンダイ

 私、ものすごく食いしん坊なんです。インフルエンザで高熱が出ても、食欲がなくなることは一切ない。ところが、母の法事で北海道に帰った2014年11月、お腹が痛く、カニやウニを見ても全く食べたいという気持ちが湧いてこない。

 これは本当にマズイかも、とようやく思い始めて、同じ症状で当てはまる病気をスマホで検索したんです。

 がんかな、と思いつつ、でも、ほかの病気はないか、と。そうしたら、盲腸か大腸憩室しかない。2年前からお腹の痛みがありますから、盲腸ならいい加減、もっと悪化しているはずで、どう考えても当てはまらない。じゃあ大腸憩室? それともがん……? 頭の中ではほぼ確定していました。だけど、特に父には心配をかけたくありませんでしたから、食べ物が入らない、食べたいと思えない状況でも、父の前では無理やり食べていましたね。

 そんな中、いとことランチに出かけました。でも、ランチも入らない。その店から帰る時、お腹が痛くて痛くて歩けなくなりました。どうしよう、もう無理だ、と、目の前にあった内科に駆け込んだんです。先生は問診と触診から「症状は盲腸に似ているけど、症状の期間から考えると、盲腸ではない。とにかく大病院で検査を受けるように」と言われました。東京へ戻り、11月27日には病院へ行ったのですが、食事制限や下剤を飲まなければ検査を受けられない。その日のうちには検査は無理で、さらに生理が来てしまい、検査を受けられたのは、12月15日でした。

 お腹が痛いと、前から時々超音波検査を受けに行っていた病院で、担当の先生は最初、とても楽観的でした。40歳と若いからがんのはずがない、と。「大腸内視鏡をやってください」と先生を説得し、受けられるようになりました。

 素人でも分かるくらい大きく育ったがんをカメラのモニターで見たとき、先生は気まずそうでしたね。恐らくお腹が痛み始めた2年前から、がんができていたんでしょう。あの大きさにがんが育つまで発見されないなんて、そうはない。でも、先生と顔見知りになるくらい病院へ通っていて、本気でがんの検査をしなかったのは、自分も気持ちのどこかで楽観視していたのかもしれません。がんになるかもしれないけど、自分は母と違うから。子宮じゃないし、大腸だったら、がんじゃないよね、と……。

 大腸内視鏡だけでは悪性かどうかが分からないからと、細胞の採取をし、細胞診に回されることになりました。「この状況を見たら細胞診をしなくても」とは先生は言いませんでしたが、きっとそう思ったはずで、「超特急で出します」と言っていました。

 病院を出て、主人に電話をかけました。医師である主人は、その時間は普段電話に出ません。ところが、つながった。その日は月曜日で、細胞診の結果が出るのは金曜日。「俺も付いていく」と主人は言いました。働き出して以来一度も有休を取ったことがない主人が、「休んで一緒に行く」と。

▽1974年8月生まれ。44歳。北海道出身。モデルとしてCMなどに多数出演。現在は温泉観光実践士協会理事、温泉ソムリエアンバサダーも務める。

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