Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

白血病は抗がん剤が効きやすい 治癒率が8割超に上る種類も

2018年のジャパンオープンでは5冠!(C)日刊ゲンダイ

 池江さんがどのタイプか分かりません。18歳はリンパ性も骨髄性も両方の可能性が考えられますが、仮に急性だとして、さらにリンパ性なら、治る可能性が高い。急性リンパ性白血病は多くが完治するのです。

 白血病というと、一般の方は骨髄移植をイメージされるかもしれませんが、多くは、それぞれのタイプに合う抗がん剤で治療します。白血病をはじめ血液のがんは、固形がんに比べて抗がん剤がよく効きやすいのです。小児の急性リンパ性白血病に限ると、治癒率は8~9割に上り、そのうち7割近くは抗がん剤で治ります。

 治療は数カ月単位で、その間は練習ができなくなりますが、治療が終われば復帰は可能。まだ18歳。オリンピックでのメダルの可能性は、十分あるはずです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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