検査数値 裏読みナナメ読み

「ALP」には6タイプが 分析で異常の“震源臓器”が分かる

B型とO型は健康でも食後に上昇
B型とO型は健康でも食後に上昇

 ALP(アルカリフォスファターゼ)は、ハムやソーセージ、プロセスチーズなどに含まれる食品添加物を分解する酵素で、ほとんどの臓器に含まれています。中でも肝臓や骨、小腸、胎盤などに多く、血液検査で分かります。一般の方には、あまりなじみのない検査項目かもしれませんが、ぜひ頭に入れてください。

 基準値は、104~338U/L(日本臨床化学会JSCC勧告法)。ALPの数値が高いということは、どこかの臓器が障害を受けていて、ALPが血中に流出していることが疑われます。

 実はALPには6つのタイプがあって、1が肝臓、2が肝臓と胆道、3が骨と副甲状腺、4が悪性腫瘍と胎盤、5が肝臓と腎臓、6が大腸です。このパターンは「アイソザイム」と呼ばれます。上昇しているALPがどのタイプか調べれば、臓器障害の“震源地”が推測できるのです。

■B型とO型は健康でも食後に上昇

 先ほど肝臓に多く含まれると書いたように、複数のタイプが肝臓に含まれています。たとえば、お酒を飲み過ぎたり、脂っこい食事を取り過ぎたりすると、脂肪肝やアルコール性肝炎などを起こして肝機能が悪化。そうすると、前回紹介したGOTやGPTの上昇を伴って、ALPが高値になります。

 胆石や腫瘍などで胆汁の流れが滞るときも、ALPとγ―GTPなどがそろって上昇するのが特徴です。一般の方は、酒の席などでγ―GTPの異常をネタに話をされることがよくありますが、肝機能に異常があるときは、γ―GTP以外の数値も異常を示すのが特徴です。

 では、ほかの数値に異常がなく、ALPが単独で高いときはどう判断するか。肝臓や胆道系以外の病気を疑います。それをより詳しく調べる検査がアイソザイムです。

 ALP3が高いと、骨折や骨粗しょう症、がんの骨転移のように骨の異常ですから、X線でチェックできます。甲状腺機能亢進症によって骨の代謝がよくなるときも、ALP3が上昇することが少なくありません。ただし、ALPの基準値は施設によって幅が大きい。同じ施設で定期的にチェックし、比較することが重要です。ALPは、健康でも上昇することがあります。たとえば閉経後の女性は、ALP2と3が上昇しやすく、妊娠後期の妊婦はALP4が3倍にハネ上がることも。血液型がBかOだと、健康でも食後にALP5が上昇することがあるのです。ALPの異常が続くときは、かかりつけ医でアイソザイムを調べた上で、エコーやCTなどで精密検査を受けることです。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

関連記事