病み患いのモトを断つ

突然死もある…痩せでも危ない隠れメタボ10%の驚愕データ

双子姉妹ユニット「ドリーミング」、亡くなった妹の寺田嘉代さん(写真左)と姉の千代さん
双子姉妹ユニット「ドリーミング」、亡くなった妹の寺田嘉代さん(写真左)と姉の千代さん(公式HPから)

 あんなに細くて元気そうだったのに……。「アンパンマンのマーチ」などで知られる双子姉妹ユニット、ドリーミングの寺田嘉代さんの突然死を巡って、悲しみの声が上がっている。

 結成30周年記念アルバムのリリース3日前の今年1月6日に脳出血を発症し、26日後に帰らぬ人に。年齢は非公表ながら、大卒後のキャリアから50代半ばか。脳出血は、メタボとの関連が指摘されるが、年齢を感じさせないほどスマートだ。痩せている人も危ないのか。

「メタボリックシンドロームの概念が定着し、メタボのベースにある内臓脂肪が生活習慣病の原因のように語られます。しかし、メタボでなくても生活習慣病になるし、脳卒中や心筋梗塞になっているのです。今や、メタボ論の定着は失敗だったのではないかという議論さえありますから、メタボでない“隠れメタボ”が、脳出血を起こす可能性は十分あります」

 こう言うのは、東京都健康長寿医療センターの桑島巌顧問(循環器専門医)だ。

 その根拠となるのが、1997~2012年の国立長寿医療研究センターの調査。40~79歳の男女約4000人の健康調査データを解析したところ、体格指数(BMI=体重〈キロ〉を身長〈メートル〉で2回割って計算する)がメタボ基準の25未満なのに、高血圧、高血糖、脂質異常症のうち2つ以上を持っていた人が少なからずいた。男性は10.9%で、女性は13.6%。全国で男性は380万人、女性は534万人の“隠れメタボ”がいる計算だ。

■血圧計は家庭や職場に1台

「血圧は日内変動があって、健康なら朝は低く、活動するにつれて上昇して、寝ている間に下がります。どのタイミングで血圧を測るかによって数値の意味が違いますが、下がるべきはずの就寝中が高い夜間高血圧は特に危ない。外来で診察していると、メタボでない人も、夜間高血圧が少なくありません。私が10年以上前に調べた研究では、健康診断で正常な人でも日中のどこかで血圧が基準値を超えて高くなる人が4人に1人の割合で見つかっています。『私は大丈夫』と健康を過信している人も、決して油断できません」

 亡くなった寺田さんの血圧がどうだったのか分からないが、ちょっと気になるデータだろう。万が一の事態を防ぐには、どうすればいいか。

「中高年なら、家庭に血圧計を置いて事あるごとにチェックすることです。社員の健康を考える企業だと、職場に設置しているところもある。動悸や息切れなどの症状があれば、すぐに受診して24時間の血圧や心電図を調べる検査を受けるといい。健康診断の血圧の値はしょせん、“瞬間風速”ですから、どこに異常が潜んでいるか分かりません。それをチェックするのが、24時間検査なのです」

 把握できていない血圧の高値に仕事や家庭のストレス、ウサ晴らしの暴飲暴食や喫煙などの負担が重なると、見せかけの“健康体”が悲鳴を上げることになる。

「生活環境が悪化した状態が続くと、脳出血より致死率が高いクモ膜下出血を引き起こす恐れもあります。減塩をはじめとする食事の改善や適度な運動、十分な睡眠など用心に越したことはありません」

 油断禁物だ。

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