今年は多め 花粉症で眠くならず薬で症状を抑えるポイント

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は、例年比で東北から近畿でやや多く、中国地方では多く、四国は例年並み、九州は例年並みか多めと予測されている。2月中旬から始まり4月ごろまで続く花粉症シーズンを乗り切るには何を知っておくべきか? 日本医科大学耳鼻咽喉科准教授・後藤穣医師に聞いた。

■どの治療を選ぶ?

 花粉症治療には「抗原除去・回避」「薬物療法」「手術療法」「免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)」がある。

 抗原除去・回避はセルフケアでの対策だが、残りの3つの中では?

「薬物療法と手術は対症療法ですが、症状を早く抑えることにおいて薬物療法の役割は大きい。免疫療法はアレルギー物質を舌下投与や皮下投与するもの。根本的な治療として注目が集まっていますが、即効性がないのが欠点。長期間にわたり治療が可能な患者に適しています」(後藤医師=以下同)

 スギの花粉症は重症度が高い患者が多いため、薬物療法を的確に進めていくことが大事だ。 

■効き目が悪い場合

 鼻アレルギー診療ガイドラインには、重症度と病型に応じてどの薬を用いるべきか細かく掲載されている。

「中等症と重症・最重症では治療が異なります」

 ただし、耳鼻科医の9割はガイドラインを持っているが、内科医では4割という調査結果も。薬の効き目が悪い場合、重症度と病型に合っていない薬が処方されている可能性がある。

■重症度、病型を知る

 適切な薬を選ぶ上で、重症度と病型は必須。「1日のくしゃみの平均回数」と「1日の鼻をかむ回数」のどちらか多い方を選択。また、鼻づまりの状態が5段階中どこに当てはまるかをチェック。2つを掛け合わせて重症度と病型を知ることができる。詳しくは、鼻アレルギー診療ガイドラインを見るといい。

■副作用で眠い場合は

 重症度、病型で花粉症を分類した場合、どの花粉症にも使う薬が第2世代抗ヒスタミン薬だ。抗ヒスタミン薬には、第1世代、第2世代前期、第2世代後期(非鎮静化)があり、眠気の副作用がない薬は、第2世代後期だ。

「ところが、眠気のある第1世代、第2世代前期の抗ヒスタミン薬を出しているところはまだまだあります」

 第1世代を処方している医師(内科医、耳鼻科医)へのインターネット調査では、その理由として「効果が強い」「即効性がある」「薬価が安い」「使い慣れている」が上位にきていた。一方、第2世代後期を処方している医師の理由は効果や即効性とともに、「眠気が少ない」が多かった。

「第1世代は眠気が出る、口が渇く、睡眠障害が起こりやすいといった副作用がありますが、特に小児科医では使い慣れているからと処方するケースが少なくない」

 眠気が強い場合は、第2世代抗ヒスタミン薬後期が処方されているかどうか確認を。 

■新たな選択肢が登場

 治療で最もよく使われるのが抗ヒスタミン薬だが、昨年4月、世界で初めて貼るタイプが発売された。

「飲み薬を使いづらい高齢者や、服薬を忘れがちな患者さんに適しています。食事による投与タイミングの制限もありません」

 効果が1日続くため、「花粉の飛散量が多い時に薬の効果が切れてきた」といったことがない。皮膚が赤くなるなどの副作用が報告されている。

「薬物治療に、新たな“貼る”という選択肢ができた。患者さんのニーズに応じた治療が、今後はよりできる」

 今年こそ、花粉症のつらさ、薬の副作用のつらさの両方とオサラバしよう。

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