「がん家系」に生まれて

大腸切除でお腹を壊しやすくなり体重も増えやすくなった

モデル・美肌温泉家の朝香さん
モデル・美肌温泉家の朝香さん(C)日刊ゲンダイ

 リンチ症候群は、比較的若い年代で大腸がんが発症することが多く、それ以外のがんのリスクも高くなることが報告されています。子宮内膜がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がんなどですが、日本人の研究が進んでいないので、基本的には欧米人の調査結果です。

 母は子宮体がんを最初に発症し、大腸がん、胃がん、膵臓がんも見つかった。私は、リスクが高いとされるがんについては、半年に1回、検査を受けています。毎年1月は“検査祭り”なので、結構忙しいですね。また、今後の研究のために、治験への細胞提供をしています。

 大腸がんの手術による影響はいくつかあります。まず、切除した部分が長かったせいか、お腹を壊しやすくなりました。「よく噛みましょう」と言われますが、私の場合、本当によく噛まないとお腹を壊してしまいます。美肌温泉家の取材で各地の温泉に出向いている私には、これが結構厄介なんです。特にプレスツアーなどの場合は、時間がありませんから、早く食事をしなくてはならない。よく噛むことがなかなか難しくなるんです。

 早くに大腸がんが見つかっていたら、そもそも大腸を切らなくてもよかったわけで、そうすると、お腹を壊しやすくならなかったのになと、時々思います。

 次に、体調を崩しやすくなりました。これは、手術の影響かどうかは正確には分からないんですが、時に起き上がれなくなることも。生理前後は特に頻度が高い。ただ、仕事は休めませんから、体調を崩しても死ぬ思いで頑張っています。なお、食事制限は今は別にありません。

 さらに、太りやすくなりました。手術の前から「大腸を切ると太りやすくなりますよ」とは言われていたんです。私、それまでいくら食べても太らない体質だったんですが、主治医に言われた通りになりましたね。同じ食生活、同じ運動量のままだと太るとのことでしたが、今以上運動する時間を増やすのは難しい。体調や年齢の問題から、ランウエーショーに出るモデルは難しいかなとも感じていたので、体をがっつり使うモデルではなく、企業広告のモデルに仕事をシフトしていこうとしていました。

 太ったといっても、3キロ程度。ファッション系は無理かもしれないけど、企業広告やCMならまだまだいける、という見通しがあったんです。実際その通りだったのですが、がんの手術後に交通事故に遭ってしまうのです。それが影響して運動をできなくなり、ヒールも履けなくなり、体重が15キロ増えてしまった。さすがにこれでは企業広告のモデルもできないとなり、以前から書いていた温泉コラムの仕事により力を入れるようになったのです。

▽1974年8月生まれ。44歳。北海道出身。モデルとしてCMなどに多数出演。現在は温泉観光実践士協会理事、温泉ソムリエアンバサダーも務める。

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