患者が語る 糖尿病と一生付き合う法

適切なカロリーを1週間守って“正しい感覚”を身につける

意外とすぐに慣れる

 医師の指示カロリー通りの食事を最初は「少ないな」と感じるだろうが、逆にそれまでの食事が常に多過ぎたのだ。それが普通だと思ってきたせいで、比較の問題として少なく感じるだけなのだ。

 現在、糖尿病にかかっている人もそうでない人も、とにかく1週間、食事療法的観点からみて「適正なカロリー量」を厳密に守った食生活を続けてみることをお勧めする。

 僕もそうだったが、人間は意外とすぐに慣れる。これだけしか食べられないとなれば、その量で満足できるように体がつくり変えられていくのだ。

 1週間が過ぎたら、それをやめてもいい。でもきっとその時には、それまで守ってきた量以上のカロリーを口にした時点で、「あ、食べ過ぎだな」と体で察知できるようになっているはずだ。

 大事なのはその感覚なのだ。それを身につけているかどうかだけでだいぶ違う。

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平山瑞穂

平山瑞穂

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

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