Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

堀ちえみさん4期舌がん 口内炎異常を確実に見抜くチェック

タレントの堀ちえみさん(C)日刊ゲンダイ

 堀さんは、特発性急性すい炎や特発性大腿骨頭壊死症を克服された後、リウマチの治療を受けています。抗リウマチ薬のメトトレキサートには、副作用のひとつに口内炎があり、日本リウマチ学会作成の薬のパンフレットにもそのことが記載されています。ブログには「リウマチの薬の副作用なので、仕方がないです」とありますから、その刷り込みで舌がんの診断が遅れた可能性は否定できないでしょう。

 舌がんのリスク要因として、たばこと酒のほか入れ歯も要注意。不安定な入れ歯による断続的な刺激が舌がんを招く恐れがあるのです。

 早期がんでの部分切除なら、術後のしゃべりにくさや食べにくさがあっても、体の負担は少ないのですが、今回のケースのような大掛かりな手術だと、生活の質は大きく損なわれるでしょう。歌を歌うのはしばらく難しいかもしれません。

 生活の質を損なうことなく治療できるのが、放射線療法の小線源療法です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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