独白 愉快な“病人”たち

引退まで試合では吐き続け…小谷野栄一さん語るパニック障害

小谷野栄一さん(C)日刊ゲンダイ

 シーズン中、選手は練習して、セカンドアップして、ノックを受けてから試合に臨むんですが、僕だけその後に「サードアップしてくるわ~!」と言って、ひとりでトイレに行きオェーッと。試合前の6~7時間は何も口に入れていないので、胃液か、喉が切れて血を吐く……という感じでした。

 でも、大変じゃなかったです。これが試合前の僕のルーティン(笑い)。それで呼吸ができるようになり、その日は大好きな野球ができる。よっしゃ、勝つぞ! みたいな(笑い)。そう思えるように、自分で自分をマインドコントロールしていったんです。

 公表していなくても、同じくパニック障害を抱えている選手はいるかもしれません。これからはサポート役として、野球に加え、僕の病気の経験が何かの役に立てられればと思っています。 

(聞き手=中野裕子)

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