リンパ浮腫は保存療法では止まらない…今できる最善のこと

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 こう話すのは、国立国際医療研究センター病院形成外科診療科長の山本匠医師。国際リンパ浮腫センターセンター長でもある山本医師は、手術後3カ月以降からリンパ浮腫をチェックする検査を行い、そのリスクがある患者にはむくみが現れる前から治療を行っている。「発症したら一生付き合っていかなければならない」と言われるリンパ浮腫だが、山本医師の早期介入によって、何の治療もしなくても悪化せず、画像検査でも異常なしの、完治といってもいい状態の患者が、数は多くないものの、いる。

「ところが現状は、むくみが現れてから治療開始になるケースがほとんど。リンパ浮腫という病名から、むくみ(浮腫)の病気と考えられがちですが、そうではなく、リンパの流れが悪いのが問題なのです。私は『リンパ不全』と呼ぶべきではないかとも思っています。このリンパの流れの悪さは、術後3カ月から半年くらいから2年以内に見られる。その段階、つまり、むくみなどの自覚症状が出る前から治療を開始するのが最善の策なのです」(山本医師)

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