ここ数回で紹介している研究は、白衣高血圧も安心していられないという以上に、驚くべき現実を示しています。医療機関や健診会場で測る血圧より、普段の生活の中での血圧を測るほうが、脳卒中や死亡のリスクをよりよく反映しているのは明らかで、医療機関などで血圧を測るのに加え、24時間の血圧測定を追加するのが好ましいということになるでしょう。その時の血圧の基準を医療機関で140と90、普段の生活の中での血圧では上が130、下を80に基準を取ると、血圧が正常な人はほとんどいなくなるという事実です。
「血圧130は高めです」とするテレビコマーシャルが流れ続けています。そのうえ医学界で最も権威ある医学誌に、自宅での血圧130以上は、医療機関での140以上よりもむしろ危険だという研究結果が報告されています。そこに事実誤認はありません。その通りであることが、質の高い研究により明らかにされています。
これからは上の血圧130、下の血圧80を基準として、24時間血圧計で血圧を測って判断することが、血圧診療において必須になっていくかもしれません。
ただそうした診療が普及すると、世の中の90%以上が降圧薬を飲むということになります。
それによって脳卒中や心臓疾患を先送りできるのも明らかです。しかしなんだか釈然としません。儲けたい製薬会社や医療機関にだまされているだけのような気もします。もちろん脳卒中や心臓疾患の予防効果はあり、単にだまされているということでもありません。読者の皆さんはどのように考えるでしょうか。
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