失明リスクの高い目の病気

「突然、黒い幕が下りて…」一過性黒内障は脳梗塞の前兆

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一過性黒内障が考えられれば、脳外科での画像検査と頚部と心臓のドップラー検査を早急に行う必要があります。私は近くの総合病院の脳外科の先生とあらかじめ打ち合わせておき、即時に電話予約をして「一過性黒内障の患者さんです。脳画像診断と頚動脈ドップラー、心電図、心臓エコー検査を含めた総合的な検査をお願いします」と連絡をするようにしています。

 検査の結果、まれですが、頚部のアテロームではなく、心臓の中にある良性腫瘍が見つかったりすることもあり、そのようなケースでは、間に合って良かったと思います。

 脳梗塞が脳の後ろの部分に起きれば、視野の欠損は脳病変の反対側の両眼視野欠損として表れます。眼科を訪れるのは、視野欠損発症後、数日経ってからということも少なくありませんが、まれに1時間前に起こったという場合もあります。しかし、これはたまたま運が良かっただけで、いつ脳梗塞が発症していてもおかしくない状態です。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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