後悔しない認知症

感情的な叱責はもってのほか 大切なのは認知症の親への敬意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 本当の子どもへの「子ども扱い」はいとおしむ思いが込められているが、親に対する「子ども扱い」は侮蔑とまではいわないが、敬意を欠いた接し方だと心得ておくべきだ。

 脳の機能が低下しているわけだから、物事を理解してもらうために平易で噛んで含めるような物言いをすることは必要だが、敬意を欠いた接し方は慎まなくてはならない。さもないと、認知症の親のプライドを傷つける。これは「認知症の親に機嫌よく生きてもらう」という介護の原則に反する行為となるのである。

 なかには感情的になって子どもを叱責するような言動で接する子どももいるが、これは禁物だ。

■「子ども扱い」は親を傷つける

 英会話が堪能な人は認知症になっても意外にその能力は保たれるし、お年寄りは子どもが読めないような難解な漢字もスラスラ読める。記憶が欠損したり、新しい情報の理解、ITなどの新しいテクノロジーの習得ができなくなったとしても、脳の残存能力はあるレベルで維持されている。そんな親を「子ども扱い」するのは親を傷つけることになる。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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