アトピー性も2週間で改善 “皮膚疾患に漢方”これだけの効果

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「皮膚科での漢方は希望者が多いが、医者側がニーズになかなか追い付いていけない側面がある」と言うのは、東洋医学と西洋医学の両面から治療を行う「よしき皮膚科クリニック銀座」の吉木伸子院長だ。話を聞いた。

 アトピー性皮膚炎やニキビなどの皮膚疾患に薬を塗っているが、期待するほどには良くならないケースがある。こんな時、漢方が思わぬ効果をもたらすことがある。

「皮膚は内臓を映す鏡といわれています。体内のさまざまな不調を反映しているのが皮膚なので、体の中からバランスを取ることが重要になってきます。そして、バランスを取るのに非常に有効なのが、漢方なのです。漢方では、その人の体質などに関係する『陰陽虚実』や『気血水』を見て、患者さんの状態を判断します。漢方薬を用いて体の細かいバランスの乱れを整えていく、いわばオーダーメードの治療です」(吉木院長=以下同)

 吉木院長が実際に診た例を紹介しよう。

■酒さ

「酒さ」は炎症性・進行性の慢性疾患で、赤み、小さな吹き出物、顔面の毛細血管の拡張などが見られる。

「ステロイドで酒さが悪化した女性は、真っ赤に皮膚が腫れていました。抗生物質ミノマイシンを2週間服用してもらい、発疹が黒く乾いたような感じになった段階で、越婢加朮湯と加味逍遥散を服用してもらいました。5週間後には発疹はかなり改善し、その後ミノマイシンはやめて漢方薬だけで、2~3カ月できれいな皮膚に戻りました」

■薬疹

 プロポリスのサプリのアレルギー反応で体に湿疹が出た60代の女性。

「原因となったサプリをやめてもらい、じんましんなどによく使う黄連解毒湯を処方。薬疹は速やかに改善しました」

■アトピー性皮膚炎

 大人のアトピー性皮膚炎は、顔に症状が強く表れる人が多い。その女性も顔や首が真っ赤だった。

「女性の希望でステロイドは使わず、乾燥・熱感発赤の強い皮膚炎に効く白虎加人参湯を使うと、2週間後には症状の改善が見られ始めました」

 民間療法でアトピー性皮膚炎をこじらせた妊婦は、白虎加人参湯を使いだして1カ月後にかなり改善が見られた。

■大人ニキビ

「大人ニキビには漢方薬がとても有効です」

 3年前からニキビがあり、ニキビ治療薬は2~3カ月使ったが効かなかった23歳女性は、冷え、むくみ、過多月経、月経困難があった。冷えなどに効く当帰芍薬散、過多月経などに効く桂枝茯苓丸でニキビは数カ月後に著しく改善した。

 漢方薬は病名から選ぶのではなく、前述の通り、「陰陽虚実」や「気血水」など患者の体質から選ぶ。効いているかどうかは、どれくらいの期間、様子を見ればいいのか?

「2~3週間飲んでもらい、改善があるかどうか。最初の段階では皮膚そのものに改善が見られないケースもあります。ただ、便秘が治る、生理痛がよくなるなど、どこかに良い効果が見られれば、その後で皮膚も改善することが珍しくありません」

 よくならない皮膚疾患には、漢方という選択肢があると覚えておこう。

■子供の漢方

 アレルギー疾患は、大人まで持ち越すと症状もひどくなり、治療も大変になることがある。

「アレルギー体質の改善に漢方はとても有効です。アレルギーと腸内環境の関係が最近いわれていますが、漢方は胃腸を丈夫にするので、そのような角度からアレルギーを改善していくのかもしれません」

 子供は苦い薬が飲めないというのは思い込み。大抵は慣れれば飲めるようになる。まず少量から始め、飲めたらうんとほめてあげる。服薬用のゼリーなども市販されているので試してみるといい。

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