Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

ヤフーの厚労大臣賞受賞で注目 がんの治療と仕事の両立

受賞企業の担当者と(左が筆者)/(C)日刊ゲンダイ

 がんは生活習慣病の要素もあって、禁煙や節酒に努めて、適度な運動とバランスのいい食事を心掛ければ、発がんリスクは5~7割ほど抑えることができます。残りは、残念ながら運に左右されます。私も運動して、ノンスモーカーですから、膀胱がんになったのは運が悪かったとしかいえません。

 しかし、運が悪くてもちょっとした知識の有無で、その先の人生は大きく変わってきます。それが早期発見につながる知識で、それがあれば治療と仕事の両立はそれほど難しくありません。

 もちろん、末期での治療と仕事の両立も大切で、受賞企業はそこへのアプローチも整えていますが、個人として行動するなら末期を想定するより早期発見を心掛ける方が合理的でしょう。ヤフーも研冷工業も、そこに力を入れています。そういうことは読者の皆さんもできますから、頭に入れておいてください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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