ビール → 炭酸水で5kg減も「代用食品」ダイエットのコツ

炭酸水も侮れない
炭酸水も侮れない(C)日刊ゲンダイ

 ダイエットに失敗する人の多くは食事でつまずく。すぐに効果を得ようと「食事量の削減」「糖質カット」を始めるが大抵は続かない。空腹のストレスや糖質がもたらす食べる喜びの減少でイライラするからだ。それを「意思」の力だけで抑えつけるには限界がある。どうすればいいのか。早稲田大学持続型食・農・バイオ研究所重点領域研究機構招聘研究員の古谷彰子氏に話を聞いた。

「肥満の原因は体重を一定の範囲内に維持するためのホルモンの乱れにあります。それを導くのが誤った生活習慣と食生活です。夜更かしや座り続けの生活のストレスを、血糖の急上昇で一時的な幸福感をもたらすお菓子や、味付けの濃い食事で解消しようとするからです。本来、ダイエットは食事の意味を持ち、正しく取れば本来の体重まで自然にやせていきます」

 ところが、多くの人はやせるための食事を始めた途端、ストレスを感じる。

 例えば「1日に必要な野菜は350グラム」と聞くと、好きでもない野菜サラダを食べるというストレスにさらされる。それを解消するため肥満につながりかねないマヨネーズやドレッシングをタップリかける。

 あるいは「食べ過ぎるから太る」と単純に考えて、好きなご飯の量を減らす。そのせいでイライラが募り、結果的に食べてしまう。これではダイエットに成功するはずがない。まずは量を変えずに太りやすい食材をそうでない食材に置き換えることだ。実際、大阪大学大学院医学系研究科・病理学の仲野徹教授は著書「(あまり)病気をしない暮らし」のなかで自身のビール好きの理由は炭酸による喉ごしにあると分析。大好きなビールをただの炭酸水に変えて5キロ近くやせたという。

「主食のごはんを大麦に置き換えるのも手です。大麦は食物繊維が豊富で、100グラムに9・6グラム含まれ、白米の19倍に相当します。糖質代謝に不可欠なビタミンB1も豊富です。そのため急激な血糖の上昇を抑えて、血糖値やコレステロールを改善します。最近の研究では腸内環境を改善する乳酸菌を増やすことが確かめられています」

 白米8割、大麦2割で炊いた1食150グラムのご飯を食べたとすると3食で国が推奨している食物繊維の摂取基準を賄うことができる。しかも、大麦の食物繊維は6割が水溶性で4割が不溶性とバランスが取れている。

「水溶性食物繊維は、胃や腸の中でドロドロになって食べ物の移動を遅くします。そのため、糖質の吸収がゆるやかになって血糖値の上昇を防ぎ、脂質の吸収を抑えます。また、不溶性食物繊維は、胃や腸の中で水分を吸って膨らみます。白米に比べ2割近く水分を含むため満腹感が得られやすく、食べ過ぎを防ぎます」

■常温の水を1日1・5~2リットル飲む

 また、食物繊維は塩分過多による弊害から身を守る。ナトリウムを吸着して排出するからだ。

「塩分は水分を保持するという性質があります。取り過ぎると、不必要な水分を体の中から排出しにくくなり体がむくみます。その結果、血管が圧迫され全身に栄養を送るための血流が悪くなり、栄養をエネルギーに変える力が弱くなる。余ったエネルギーがたまり肥満につながるのです」

 血流が悪くなれば体温が下がり、基礎代謝も落ちる。逆に塩分を控え体内の塩分濃度を下げれば、血流改善や代謝アップの効果が期待できるのだ。

「便秘も改善されやすくなります。塩分に作用して食欲を増進させるグレリンというホルモンの分泌が減ることも期待できます。一方で濃い味付けになれてしまうと、素材の味や甘味などの味覚が鈍ってしまい塩分で食欲が促進され食べ過ぎてしまうことになります」

 そのために水を多めに取り、カリウムが豊富な食材を摂取することが一般的に勧められる。大量の水は体内の塩分濃度を下げてナトリウムを排出しやすくする。カリウムは体内の余分な塩分を排出する働きがある。そのため常温の水を1日1・5~2リットル飲んだり、ホウレンソウ・小松菜・かぼちゃ・ブロッコリー・レンコン・バナナ・アボカド・さつまいも・じゃがいも・トマト・キウイフルーツなどを積極的に取る人も多い。

「しかし、塩分の多い食事に慣れてしまっていると、ダイエット中の食事が薄味すぎて物足りなさを感じてしまうことがあります。そんな時は昆布、貝類、野菜類、キノコ類などから出汁をとったり、お酢、レモン汁、ショウガ、にんにく、粉末昆布、ごま、ごま油、ココナツオイル、オリーブオイル、ヨーグルトなどを使ったりする料理を食べるのも手です。それでも物足りなさを感じるならカレー粉や唐辛子などの香辛料を使いましょう」

 ダイエットは最初の1週間が肝心だ。古谷氏も「栄養指導でたくさんの人を減量成功に導きましたが、この期間を乗り切りダイエットが習慣化されると成功率が高くなっています」という。

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