後悔しない認知症

記憶障害は2種類 進行を遅らせるには「口に出す」機会を

写真はイメージ(C)PIXTA

「○○さん、お久しぶりです」「××さん、いらっしゃいませ」

 何度か利用したことのあるホテル、旅館、飲食店などで、年配のクルマ寄せの係の人、フロントの人、板前さんなどが、すぐに固有名詞を口にして迎えてくれることがある。常連というわけではないのに、そうした対応をされると客としては悪い気はしない。実は彼らは、そうやって口にすることで、上手に出力のトレーニングをしているのである。

 親に記憶障害の兆候が表れたら、意識的に会話の機会を増やしたり、メモさせたり、日記を書かせたりして、新しい情報の入力、記憶にある情報の出力の機会を増やしてあげることだ。「昨日のことも覚えていない」からと、子どもがコミュニケーションを避けていれば記憶障害の症状はどんどん進むと心得ておくことだ。

3 / 3 ページ

和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

関連記事