市販薬との正しい付き合い方

セルフメディケーション税制 覚えておくべき2つのポイント

写真はイメージ
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 医療用医薬品から一般の薬店で購入できる市販医薬品(OTC医薬品)になった医薬品を「スイッチOTC医薬品」といいます。年間で1万2000円以上のスイッチOTC医薬品を購入した場合、セルフメディケーション税制という税金の控除対象になります。しかし、控除を受けるためにはいくつか注意点があります。

 1つ目は「対象となる成分が限られている」ということです。対象になる成分は厚労省のホームページで公開されていますが、もっとわかりやすく確認する方法があります。薬のパッケージに控除対象である旨を示した「識別マーク」が入っているかどうかをチェックしましょう。

 また、同じ名前の薬であっても対象になるものとならないものがあるので要注意です。たとえば、解熱剤として使われている「バファリン」では、バファリンプレミアムは対象となりますが、バファリンAは対象になりません。これは、同じバファリンであっても成分が異なるからです。

 バファリンプレミアムはイブプロフェンが主成分で、バファリンAはアセチルサリチル酸が主成分という違いがあるのです。購入の際には気をつけましょう。

 2つ目は、「申請には書類が必要になる」という点です。控除対象者は「健康診断を受けている者」ですので、健診などの領収書または結果通知書が必要になります。また、対象となる薬を購入した際の領収書またはレシートも必要です。これらを申請書に添付しなければなりません。

 購入した薬の領収書は、手書きは「不可」となります。領収書には、①商品名②金額③その商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨④販売店名⑤購入日が記載されている必要があるのです。

 確定申告の期限が迫ってきました。スイッチOTC医薬品を年間1万2000円以上購入した人は、セルフメディケーション税制を賢く利用してください。これまでご存じなかった方も、来年に向けて準備をしてはいかがでしょうか。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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