“じゃばら×ヨーグルト” ひどい花粉シーズンを乗り切る秘策

今、注目の“花粉症対策フード”(C)日刊ゲンダイ

 花粉症シーズン真っ盛りの今、熱い注目を集めているのが柑橘類の「じゃばら」である。岐阜大学医学部などの研究で、花粉症に対する研究成果が発表されたこのじゃばらと、花粉症対策に定評のあるヨーグルトを組み合わせた『じゃばらヨーグルト』が〝花粉対策フード〟として大きな話題を呼んでいるのだ。いったいどういうことなのだろうか。

「何か楽になった感じがあるんだよ。いつも今頃はグジュグジュだからね」と、東京・有楽町にある和歌山県のアンテナショップ「わかやま紀州館」で、「じゃばら」のストレート果汁を手に持った70代の男性は話す。60代の女性も「自分が使ってみてよかったから、花粉症で困っているお友達にあげたくてね」と、じゃばらのジャムに手を伸ばす。

 和歌山県農林水産部わかやま紀州館物産担当副主査の大嶋功資さんは、花粉症シーズンに急上昇するじゃばらの人気ぶりをこう話す。

「テレビの情報番組で取り上げていただいたりしてじゃばらを求めて来館される方が増えました。じゃばらジャムとヨーグルトを組み合わせた『じゃばらヨーグルト』がメディアで紹介され、じゃばらジャムは一気にお店の売れ筋商品になりましたね」

「薬が苦手な方も安心ですね」と大谷義夫院長(C)日刊ゲンダイ
ヨーグルトの抗アレルギー作用が注視されている

 じゃばらと、ヨーグルトを組み合わせた「じゃばらヨーグルト」はまさに今、注目されている“花粉症対策フード”なのである。

「じゃばらヨーグルト」について、アレルギーの専門医である池袋大谷クリニックの大谷義夫院長はこう語る。

「花粉症の症状を抑えるなら薬を服用することが一番ですが、薬を飲めない方もいます。例えば、妊婦さんや授乳婦さん、ほかの病気でいろいろな薬を服用していて花粉症の薬が飲めない方もいます。また、薬を飲むと眠くなったりして仕事や生活に差し障りのある方、薬が苦手な方もいる。そんな方にとって、じゃばらとヨーグルトは食材なので、安心して利用できる点が大きなメリットです。どちらも花粉症に対する研究データがあるので、ヨーグルトとじゃばらを両方一緒に摂るのは、いい方法だと思いますね。じゃばらはすごく酸っぱいので、ヨーグルトと混ぜれば美味しく食べられますしね」(大谷院長)

 では、どう花粉症対策にいいのだろうか。

 ヨーグルトは、臨床試験によって花粉症の改善傾向が認められている。研究調査では、東京近郊のスギ花粉症患者約100人を2つのグループに分け、一方は乳酸菌(OLL2809の菌体)を含む錠剤を、もう一方にはこの菌体を含まないプラセボ(偽薬)を8週間、毎日摂取してもらった。

 その結果、スギ花粉に対してアレルギー反応が強く出る人について、OLL2809乳酸菌を摂った人は、プラゼボを摂った人に比べて医師の鼻腔内部の所見や患者さんの症状記録などから鼻症状が改善されたことがわかった。加えて、血液検査でもアレルギー反応の強さを示す数値が下がり、免疫バランスの改善傾向が認められたのである。

「じゃばら」は和歌山県北山村原産の柑橘(C)日刊ゲンダイ
じゃばらはアレルギーを抑制するナリルチンが豊富

 じゃばらは、和歌山県北山村原産の柑橘で、ゆずと九年母(くねんぼ)などの自然交雑種。もともと北山村に1本だけ自生したという。地元では、「花粉症や鼻炎を緩和してくれるみたい」と口コミで広がり、2001年頃から徐々に注目され始めたそうだ。

 そのじゃばらが花粉対策フードとして一気に注目を浴びたのは16年のこと。大阪薬科大学の谷口雅彦教授が「じゃばらの花粉症等アレルギーに対する効果」と題した研究成果を発表し、それがテレビでも紹介され、全国的に知られるようになったのだ。それ以前にも、岐阜大学医学部が専門誌に「じゃばらのスギ花粉症への効果」についての研究結果を報告している。

 なぜじゃばらなのか。

「じゃばらには、ほかの果実と比べて、ナリルチンと呼ばれるフラボノイドの仲間の成分が圧倒的に豊富に含まれているからです。このナリルチンという成分は、アレルギー反応を起こす肥満細胞からヒスタミンなどのアレルギー物質が放出されるのを抑える働きがあることが明らかになっているのです」(大谷院長)。

 今シーズンの花粉の飛散の多さは別格。その対策の一つとして、「じゃばらヨーグルト」を毎日食べた方がいいかも。

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