人生100年時代の健康法

「サバ缶」とアンチエイジングに科学的な根拠はあるのか

(C)日刊ゲンダイ

 なぜなら、細胞膜の主材料のひとつだからです。しかも、オメガ3脂肪酸は一度酸化されてしまうと、もう元には戻りません。外から補給して交換するしかないのです。また、特に脳や神経の細胞膜には、オメガ3脂肪酸が多く使われています。サバ缶を食べると脳細胞が若返って記憶力がよくなるとか、認知症が改善されるとかいわれているのはそのためです。とはいえ、実際にサバ缶を食べたらこうした成果が得られたと科学的に確かめられたわけではありません。あくまでも仮説ないしウワサの域にとどまっています。

 ただ、サバ缶を2~3週間も食べ続けると、肌がつやつやになるという人がいます。それが本当なら、サバのEPAやDHAによって皮膚の細胞膜が修繕されたと考えられるわけですし、皮膚でうまくいくなら、全身の細胞でも同じことが起こっている可能性があるわけです。ちょっと気になる人は、試しにしばらくサバ缶(サンマ缶でもイワシ缶でもオリーブオイルでも構いませんが)を食べ続けてみてはいかがでしょうか。肌だけでなく、足腰の動きがスムーズになるかもしれませんし、体調がよくなるかもしれません。

 サバ缶ブームはだいぶ下火になったので、値段も落ち着いてきています。それに、相手はしょせん、水煮か味噌煮。食べ過ぎない限り、体に悪いということはないでしょう。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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