そうなると、今後は病気になる前の段階で遺伝子検査を受け、がんリスクが高い場合は対象となる臓器を摘出するといった対処法を考える時代になってくるかもしれません。乳がんリスクが高いことがわかって乳房を切除したハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんのようなケースが広まることが考えられます。
■医療の公平性を保つための議論は欠かせない
また、がんゲノム医療によって抗がん剤が効く人と効かない人がはっきり判定できるようになると、「医療の公平性」が保たれなくなってしまうのではないかという危惧も出てきます。
いまは日本人の2人に1人は一生涯のうちに何らかのがんにかかる時代です。がんは避けられない病気であるからこそ、公平性が大切になってきます。がんをリーズナブルな治療法で制圧できれば問題ありません。しかし、超高額な特殊な治療でなければ病気を管理できないとなると、たとえばリーズナブルな一般的治療よりも個人の負担を重くするなど、新たな対策を考えていくべきという意見もあります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」