耳鳴りめまい難聴…聴神経腫瘍かも

聴神経腫瘍は“良性”脳腫瘍だが脳幹圧迫で命に関わることも

写真はイメージ

 患者さんの中には、「聴神経腫瘍です」と担当医に告げられ、病気の内容と治療法を調べれば調べるほど顔面神経まひなどの事例を目にし、恐怖に駆られながら必死になってインターネットで私の外来を知った方もいます。また、担当医から「大変な病気ですよ」「手術による後遺症も多いですよ」など辛辣なことを言われた方もいます。

 聴神経腫瘍の手術は非常に高度な技術を要求されます。できればこの手術を手掛けるのは避けたいと思っている医師もいるかもしれない。聴神経腫瘍の場所や大きさによっては、「この患者さんを治すんだ」という気概を持って治療に取り組まない限り、お手上げのこともあるからです。

 これまで在籍した病院ではほかの脳神経外科領域の治療も行っていましたが、聴神経腫瘍の患者さんが集中して来られることもあり、現在はこの手術が主になりました。次回は、聴神経腫瘍がありふれた病気と間違われやすいことについて触れたいと思います。

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河野道宏

河野道宏

東京医科大学病院脳神経外科主任教授。聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍・頭蓋底髄膜腫手術のエキスパート。

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