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食事制限の"解禁日"もよし 糖尿病ならHbA1c「6%台前半」を

貧血の人は数値高めに
貧血の人は数値高めに(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病は、人工透析につながる腎症や光を失う網膜症などの合併症がある点で、生活習慣病の中でも特に厄介です。それをチェックする検査が空腹時血糖値。企業健診に含まれるため、おなじみでしょう。110㎎/デシリットルが正常ですが、食事の影響で数値が乱高下しやすいのがネック。

 そんなデメリットをカバーするのが、HbA1cです。食事の影響を受けず、食前や食後を問わず、いつでもチェックできます。

 検査日からさかのぼって過去1~2カ月の血糖状態が分かります。4.3~5.8%が正常で、ご飯やパン、麺類などの炭水化物、菓子や清涼飲料水、お酒などで数値が上昇します。

 糖尿病で数値が高い人は、とりあえず6%の前半を目指すのがセオリーです。先ほど血糖値は乱高下しやすいと書きましたが、糖尿病で病状を悪くするような食事をしていると、食後血糖値が200を超えることは珍しくありません。実は糖尿病は、乱高下しやすい血糖値の変動をなるべく抑えるのが大切です。

 それで、糖尿病の人は自分で血糖値を測定して、どんな食事をすると数値が上昇し、運動するとどれくらい下がるかを学びながら、数値改善に取り組みます。そうすると次第にHbA1cも下がってくるのです。

 ある患者さんは、「先生、大好きなお寿司を食べると、やっぱり血糖値が上がりますね。でも、店を出てから1時間くらい散歩して帰ると、数値が下がりやすいことに気づきました」とおっしゃいました。「ラーメンがよくないのは分かっていたけど、餃子や焼売の皮もくせものですね」という方もいます。そう、点心の皮は小麦粉ですから、よくありません。

 糖尿病になる方は、概して食べることが好きです。好物を控えてばかりいると、食事の改善は長続きしません。血糖値のチェックを続けることで、食べてもHbA1cの数値を上げない工夫の仕方が見えてくるのです。

“解禁日”を設けても数値の変動を抑えつつ、6%前半をキープすることができれば、怖い合併症やその先にある心筋梗塞や脳卒中を免れることができます。それが糖尿病治療の狙いです。

 ちなみに、貧血気味の人は本来の数値より高くなり、鉄剤を服用すると低くなりやすい。過去2週間ほどの血糖状態を示すグリコアルブミン検査がベターです。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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