生活と健康 数字は語る

将来より今の快適さ 高齢者にとって血圧よりも重要なこと

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 高齢者となればなるほど、介護が必要な状態になればなるほど、将来より今が大事だというほうが普通ではないでしょうか。多くの高齢者が将来より今の快適さを重視して、血圧から自由になって、降圧薬など飲まずに、日々を暮らせたら、血圧を気にしながら毎日薬を飲む生活と比べて、ずいぶん幸せな人生だと思います。1年後、2年後よりも、今のことを重視したほうが、多くの高齢者は気分よく暮らせるのではないでしょうか。

 元気に活動している高齢者と、寝たきりの人では、脳卒中を起こしたり心不全を起こしたりした時の意味合いも全く違います。前者にとっては歩けなくなるかもしれない脳卒中は重大ですが、もはや歩いていない寝たきりの人にとっては、それほど重要でないかもしれません。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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