がんと向き合い生きていく

治療はしんどいが通常の急性骨髄性白血病なら約80%が寛解

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

「どんなことがあっても完全寛解に到達するんだ」

 担当医チームは、患者さんを励ましながら緊張の連続で、精魂込めて一緒に闘います。つらい時期を目の当たりにしているだけに、完全寛解に入った時は大きな喜びです。医師としてもこのうえない喜びがあります。

 昭和が終わる頃、私たちの施設の血液内科と私が所属した化学療法科(腫瘍内科)を合わせた学会発表で、「1施設で5年以上生きている急性白血病患者が11人いるのは日本で一番」と言われました。しかし、いまは違います。治療法、補助的な治療法などが進歩し、急性白血病の治療ができる施設ではたくさんの患者さんが治癒している時代になりました。

 通常の急性骨髄性白血病だとしたら、寛解導入療法で約80%の方に完全寛解が得られます(その中でもいろいろなタイプによって異なります)。もし、白血病の治療だけで完治が難しい場合は造血幹細胞移植(骨髄移植)が行われます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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