肺がん治療最前線 新たな新薬発売で選択肢は5つに増えた

副作用少なく腫瘍が小さくなる(C)共同通信社

 ダコミチニブの有効性と安全性は、日本も参加した「国際共同第Ⅲ相ARCHER1050」で確認されている。同薬とゲフィチニブを比較したところ、がんが進行せず安定した状態を意味する無増悪生存期間、全生存期間ともにダコミチニブが上回った。無増悪生存期間の中央値(被験者の真ん中の人の数値)はダコミチニブ14・7カ月に対し、ゲフィチニブ9.2カ月。全生存期間はダコミチニブ34.1カ月、ゲフィチニブ26.8カ月だった。

 最新の肺がん診療ガイドラインでは、Ⅳ期の非小細胞がんでEGFR遺伝子変異陽性に対する一次治療として、5つの選択肢が記されている。

「推奨の強さが一番なのはオシメルチニブ(18年承認)で、ダコミチニブはその次です。オシメルチニブの方がダコミチニブより毒性が弱く、無増悪生存期間が長いためです」(中川教授)

 ただ、選択肢5つのうち、どれを選んでもいい。最初にオシメルチニブを選ぶか、またはダコミチニブを選ぶか、または他の選択肢を取るか。

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