一滴からのがん検診

2020年1月に実用化「N-NOSE」 線虫が尿の匂いからがん検知

子供でも受けられる(提供写真)

 線虫は1万種類もいるとされているが、「N―NOSE」の検査に使うのは、土の中などにいる体長1ミリほどのC・エレガンスという線虫。検査は、シャーレの中央に50~100匹程度の線虫を置いた上で、希釈した尿を1滴垂らすことで行う。画像を見せてもらうと、健常者の尿からは線虫は離れるのに対し、がん患者の尿には見事に近寄っている。

 なぜこの線虫が、がん患者の尿の臭いを好むのかは明らかになっていないというが、臨床研究において、がんを検知する感度はステージ0から1でも87.0%と極めて高い。

「現時点では、がん種を判別することはできないので、陽性の場合は、さらに詳しい検査を受けることが必要です。しかし、手軽に受けられる検査なので、一次スクリーニングとしての利用価値はとても高いと思っています」と言う。

「N―NOSE」の利点として、簡便、高精度、安価、早期発見が可能、苦痛がない、全身網羅的、の6点を挙げる。

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