年を取ったら歯磨きは朝食後より「起床後すぐ」がいい理由

忙しい朝は…
忙しい朝は…

 歯磨きをする回数は1日2回が5割弱。「マイボイスコム」が今年1月にインターネット調査を行った結果だ。

 それによると、「外出先で食事後などに、歯磨きをすることが習慣になっている」は6%、「外出先で、歯を磨くことがある」が16.4%。今回で4回目の調査になるが、1日3回、歯磨きする人は過去に比べてわずかに増えており、「4回以上」も毎回微増している。「酒を飲んで酔っぱらってバタンキュー」の人間には、驚くばかりだ。

 ところで毎朝ふと気になるのが、朝起きてすぐに歯磨きをした方がいいのか、それとも朝食後でいいのか? 

 効率の良さを考えると、後者になるが……池袋大谷クリニック・大谷義夫院長は、「エビデンスはありませんが」とした上で、こう話す。

「たとえば会社を定年退職した高齢者などで、朝は余裕がある。早起きして新聞を読んでゆっくり時間を過ごしてから朝食を取る。そういう方は、朝起きてすぐに歯磨きをした方がいいでしょう」

 呼吸器内科の専門医である大谷院長は、口腔内の細菌が起こす誤嚥性肺炎などのリスクに着目。その観点からすると、眠っている間は唾液の分泌量が少なくなるため、口腔内で細菌が増加する。となれば、できれば朝起きてすぐ、何かを口にする前に、それらの細菌を歯磨きで外に出した方が賢明だ。

「しかも、高齢者はのみ込む力が衰えているため、誤嚥しやすい。すると口腔内の細菌が肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすのです。誤嚥性肺炎は、高齢者においては死因のトップです」(大谷院長)

 では、中年以下の世代はどうかというと、大谷院長の意見は「朝食後でもいいんじゃないでしょうか」。起床後すぐに磨いた方がいいものの、朝の慌ただしい時間に歯磨きして、身支度を整えて、朝食取って、また歯磨きして……はなかなか難しい。時間がないために朝食抜き、となるなら、歯磨きは朝食後で構わないので、健康のために朝食を取った方がいい。

 それよりも大谷院長が重視するのは、夜の歯磨きだ。前述のように、寝ている間に口腔内の細菌が増殖する。その増殖を少しでも抑えるには、寝る直前にしっかり歯磨きし、フロスや歯間ブラシなども使って汚れを取り除く。「酔ってバタンキュー」の人に関しては、大谷院長から次のようなアドバイス。

「飲んでいても寝る前のトイレの際に歯磨き習慣を」

 朝しか歯磨きせず……というのは、何としても避けるべきだ。