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米国では9人に1人が発症…深刻な産後うつに新薬が初の承認

写真はイメージ

 ザルレソは今年6月に発売される予定ですが、問題はその価格。バイラル瓶(薬液を無菌状態で保存する瓶)当たり80万円、1回の治療に360万円。さらに60時間の入院費、医師の治療費などが加算されるのです。

 あらゆる女性がアクセスできるものではないとの批判を受けています。

 開発・発売したセージ・セラピューティクスは2010年創立の新しい会社で、開発費が全て価格に反映されて値段が跳ね上がったと推測されます。今後、大手他社が参入してくることで値段が下がってくるのではないかとの期待も持たれています。

 これまで産後うつを経験したお母さんの中には、「悪い母親」の汚名をかぶるのを恐れてその体験を共有できず、一人で苦しむケースが少なくありませんでした。新薬発売で、産後うつの実態が世の中に広く知られ、一人でも多くの女性が何らかの治療を受けられるようになることを願ってやみません。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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