お茶のカテキン「ガレート型」って何? 驚くべき効果とは

 年齢を重ねるとともに気になるのが血中の脂質過多。とくに〝悪玉〟と呼ばれるLDLコレステロールの多い状態を放置していると、動脈硬化のリスクが高まり、深刻な事態も想定される。すぐにでも食生活の改善に取り組みたいものだが、仕事が忙しいとなかなか食べるものを制限するのは難しい。そこで注目したいのが、茶カテキンの一種である「ガレート型カテキン」という成分。この「ガレート型」カテキンは、コレステロールが体内に吸収されるのを抑え、体外への排出を促してくれるのだ。

■悪玉コレステロールを低減させ、内臓脂肪も減少させる

 コレステロールは、細胞膜やホルモンの材料になるなど、私たちの体にとって必要不可欠な成分。しかしながら、このコレステロールには大きく分けて2つの種類がある。1つは、体内の各組織の細胞にコレステロールを運搬する「LDLコレステロール」。もう1つは、コレステロールを各組織から回収する「HDLコレステロール」だ。このうち〝悪玉コレステロール〟と呼ばれるのはLDLコレステロールの方である。

 若くて健康な体のときは、このLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの割合は肝臓でコントロールされているため何も問題はない。だが、加齢による体の機能の低下や生活習慣の乱れなどでその割合のバランスが崩れ、血液中の悪玉コレステロール濃度が高い状態が続いてしまうと、悪玉コレステロールは血管の内側に入り込んで蓄積してしまう。その結果、血管が狭くなって血流を悪くし、動脈硬化へとすすんでしまうのだ。その結果、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを高めてしまうことになる。

 古くからお茶は健康に良いとは言われてきていたが、お茶のポリフェノール成分であるカテキンと、このコレステロールの関係が本格的に研究され始めたのは1980年代のこと。以来、疫学的な研究から、コレステロールについてのお茶の効果が期待されてきたが、当時はそれがカテキンによる効果であるとは直接的に証明されていなかった。まして、カテキンの種類によって効果に差があることなど誰も予測できなかったのである。

(出典)Kajimoto et al., J Clin Biochem Nutr, 33, 101-111, 2003
ガレート型カテキンだけがコレステロールの吸収を抑制することを発見!

 そんな中、伊藤園は、カテキンがコレステロール値を低下させるメカニズムを解明するために九州大学大学院農学研究院と共同で研究を進めた。共同研究を始めた当時、さまざまな素材調査をする中で際立ってコレステロール吸収を抑える効果が高かったのがカテキンであった。カテキンがコレステロール吸収抑制効果を持つことが分かっただけでなく、ある特定のカテキンだけにその力があることも明らかになった。それが「ガレート型カテキン」だったのだ。

 この「ガレート型カテキン」は、胆汁に含まれる胆汁酸によって溶解されたコレステロールが小腸から吸収されるプロセスを阻害して、コレステロールが体に吸収されるのを抑え、体外に排泄させる働きをする。しかも、食事中のコレステロールだけでなく、胆汁に含まれるコレステロールも再吸収されるのを抑制し、体外に排泄させると示唆されたのである。

総コレステロール値、悪玉コレステロール値がともに低減

 こうした研究を重ねた上で、伊藤園中央研究所は、健常ながら血清総コレステロール値が高め(180〜259㎎/dl)の成人男女60人(男性38人、女性22人)を2つのグループに分け、12週間の介入試験を実施。一方のグループにガレート型カテキンを配合した飲料を1日2本、12週間摂取してもらい、もう片方のグループには、ガレート型カテキンを含まない飲料を摂取してもらった。ちなみにこの試験は、試験を行う側もどっちのグループがガレート型カテキンを配合した飲料を飲んでいるのか分からない、「二重盲検」と呼ばれる厳しい試験方法で行われている。

 その結果、ガレート型カテキン配合の飲料を摂取したグループには、総コレステロール値、LDL(悪玉)コレステロール値ともに有意な低下が認められたのである。この効果は、特に男性の被験者に顕著であったが、後の研究で女性にも効果が認められた。

 続いて、伊藤園中央研究所は、ガレート型カテキンの「メタボリックシンドローム」に対する予防効果についての研究にも取り組み、ガレート型カテキンがお腹の内臓脂肪面積を低減させることを確認。「2008年度日本消化器関連学会週間」でその研究の成果が発表された。

 この研究では、BMI(肥満指数)が23〜30のコレステロールが高めで肥満気味の成人男女73人を対象に、12週間にわたって食事とともにガレート型カテキンを含む飲料を1日2本飲んでもらった。すると、飲用開始前と比較して、有意なお腹の内臓脂肪面積の低減が認められたという。お茶のガレート型カテキンは、何とメタボリックシンドロームの予防も期待できることが明らかになったのである。

 日々の食生活にお茶のガレート型カテキンを取り入れるだけで、簡単に美味しくコレステロール対策ができるのだから、悪玉コレステロールが心配な方、体脂肪が気になる方は、すぐにでも実践してみてはいかがだろうか。

関連記事