役に立つオモシロ医学論文

平均気温よりも低いとリスク増 気候変動と認知症との関係

東京ではしだれ桜も満開に(靖国神社)/(C)共同通信社

 その結果、認知症による入院リスクは、夏季の気温が平均気温よりも高い場合、2%少ない傾向にあり、冬季の気温が平均気温よりも高い場合3%、統計学的にも有意に低いことが示されました。また、気温の変化が大きい地域で生活する高齢者では、認知症による入院リスクが高いことも示されています。

 つまり、平均気温よりも低い気候や、気温の変化が大きい地域に住んでいる人では、認知症による入院リスクの増加が示唆されているのです。かなり大規模な症例を解析したデータなので、偶然的に差が示された可能性は低く、気候変動と認知症の入院リスクには、ごくわずかであるにせよ、何らかの関連性が認められるのかもしれません。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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