これはほんの一部に過ぎないが、認知症になった人たちが重度になっても記憶が失われていくことに不安を抱いていることがわかるだろう。認知症の人も物忘れがつらいのだ。それなのに、やさしい言葉をかけてくれるどころか、ああでもないこうでもないと言われたらさらにつらい。「理由もなしになんで私を責めるんだ」と憤りを感じても、言葉にすらできない。言葉で伝えられないから「何もわからなくなった」と思われているが、心の中では憤りや悔しさが渦を巻いているのである。
認知症の人とは、認知に障害があるだけで、それ以外は普通の人なのだ。これは症状が進んでも基本的に変わらない。それを前提に認知症の人と接すれば、それほど難しいことではないだろう。
「小山のおうち」では物忘れを気にせず過ごせる。むしろ自慢できるほどだ。だから利用者はみんな生き生きしているのである。
これで認知症介護は怖くない