生活習慣以外も問題…ありふれた化学物質が招く肥満リスク

脂肪細胞分化の制御ができなくなる(C)ロイター

「ただし、化学物質は肥満と関係ないという研究も発表されており、現段階で環境化学物質が確実に肥満と関係すると判明したわけではありません。仮に関係したとしても、化学物質に対して敏感な人とそうでない人がいるなどとする研究もあり、より慎重で詳細な検討が必要です。ただ、私は身近な化学物質が肥満のリスク要因である可能性はゼロではないと考えています。今後は肥満を予防するために化学物質を体内に取り込む量を減らす方法と蓄積された物質を排出する方法を確立する必要がありそうです」

 化学物質を食品に利用した食品添加物はどうか。その種類はさまざまで直接的な影響を調べるのは難しいが、少なくとも食品添加物の多い食べ物を取ると、エネルギー消費が滞り、余った糖質・タンパク質・脂質などの栄養素が脂肪として体内により蓄積される可能性が考えられる。

「摂取した食べ物を体内でエネルギーとして十分に消費するには、それに見合ったビタミンやミネラルが必要です。一方、食品添加物を体内で代謝するには多くのビタミン・ミネラルを取らなければなりません。そのため、食品添加物を多く含む食べ物を口にすれば、ただでさえ、現代人に不足気味のビタミンやミネラルがさらに足りなくなり、肥満につながる可能性があるのです」

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