Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

吉田拓郎さん喉のがん告白…放射線治療の期間は短縮傾向に

喉のがんを告白したシンガー・ソングライターの吉田拓郎(C)共同通信社

 14年7月から喉頭がんの治療で放射線を受けた落語家の林家木久扇さん(81)は週5回、7週間通院して9月上旬に治療終了。治療が終わっても声が出ないことに不安を覚えたとメディアに語っていますが、2週間ほどで声が出て、9週間の休養で人気番組「笑点」に復帰しています。早期の喉頭がんは、声帯の周辺だけに集中して放射線を当てるためです。

■胃カメラでついでにチェック

 喉頭がんと違って、リンパ節転移が多い咽頭がんの場合、首に広く放射線を照射する必要があります。その際、以前は、耳下腺などの唾液腺にも放射線を照射していました。そうすると、唾液が出にくくなって、治療後も口の中の乾燥が続くこともありました。しかし今は、そういう後遺症を避けて照射する技術が開発されています。

 放射線の治療期間も、いろいろながんで短くなっている傾向です。木久扇さんは35回照射でしたが、今は25回に。乳がんで乳房を温存する治療では術後、放射線を行います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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