ショーケンこと萩原健一さんが26日、都内の病院で亡くなった。享年68歳。2011年、GIST(消化管間質腫瘍)と診断され、本人の強い希望で病名は公表していなかった。
GISTはがんに分類されるが、胃がんや大腸がん、肝臓がんなどよく知られるがんは粘膜の表面から発生するのに対し、GISTは主に消化管の粘膜表面より下の筋層に発生する腫瘍だ。
GISTの推定発生頻度は、人口100万人あたり年20人。50~60代で発症するケースが最も多い。女優の仁科亜希子も、55歳(2008年)の時にGISTを患ったとテレビ番組で告白している。
萩原さんはこの8年、どういう闘病生活を送って来たのか?
東京慈恵医大附属病院上部消化管外科診療部長の三森教雄教授は「あくまで一般的な話ですが」と前置きした上で、こう話す。
「GISTの治療の基本は手術です。腫瘍が5センチ以下で限局しており、細胞分裂が活発でなく、手術で取り切ることができれば、再発リスクは低い。根治も期待できます。一方で、最初の手術で腫瘍を取り切れない、転移がある、腫瘍が大きい、細胞分裂が活発な場合、再発のリスクが高くなります」
ある統計では、2センチ満の再発率は1%だが、10センチを超えると再発率70%以上。また、再発ケースの多くが3年以内だ。
「再発や手術が不適応な例では、分子標的薬イマチニブ(商品名グリベック)の治療になり、8割くらいは5年以上効果が見られます。しかし、やがて耐性ができ、細胞の再増殖が始まると、スニチニブ(商品名スーテント)に切り替え、これも効果なしと判定されれば、レゴラフェニブ(商品名スチバーガ)に切り替えます。スニチニブ、レゴラフェニブになると、最初のイマチニブに比べて増殖を抑えられる期間は短くなります」(三森教授)
レゴラフェニブの「次」はまだ承認されていない。新薬の臨床試験に参加する、経過観察、緩和ケアなどの選択になる。
関係者によると、萩原さんは亡くなる2日前の24日には、妻の理加さん(モデルの富田リカ)と共にスポーツジムに通うほど元気だった。翌25日に自宅で倒れ、病院に救急搬送されたという。
「萩原さんの再発の有無や薬の状況が分からないので何とも言えませんが、イマチニブやスニチニブを継続して使うと、副作用の一つとして出血しやすくなり、脳血管障害や心血管障害のリスクも高くなります。ただし、継続使用の場合は、副作用の状態を医師が必ず確認しているので、致命傷になるほど使い続けることはありませんが……」(三森教授)
また1人、一時代を築いたスターが逝った。