性感染症最前線

腟トリコモナス症<1>男性は99%無症状も前立腺がんリスク

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 かといって、炎症や悪臭は原虫が直接の原因ではない。通常、腟内は最も優勢な乳酸桿菌(かんきん)がグリコーゲンを乳酸に代謝し酸性に保たれ、他の細菌の育成を抑制している。ところが、感染した原虫が拮抗してグリコーゲンを消費すると、乳酸桿菌が減少、ペーハーの上昇を招き、他の細菌が増殖して炎症が起こる。悪臭の原因も、嫌気性菌や大腸菌、球菌などが増殖するからだ。

 一方、男性では原虫は主に「前立腺」や「精嚢(せいのう=前立腺の後ろにある袋状の器官)」にすみ着く。

「男性では尿道から原虫が侵入しても、排尿で洗い流されてしまうので尿道にすみ着くことができません。それでも尿道から上行して、たどり着いた原虫は、前立腺や精嚢にすみ着くのです。感染すると無症状でも、検査で前立腺炎を有していることが多い。放置すると前立腺がんの発症に関与するといわれます。女性も放置すると不妊症や早産、流産を招く原因になります」

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