偏った考え方の医師が患者さんに自分の考えを押し付けて透析の中断に誘導し、治療を受けて再び前を向くチャンスを奪っていたとしたら、医師の倫理観からも許されません。密室の中で医師がひとりで患者さんの命を決めてしまっているわけですから、糾弾されるのは当然です。
■トラブルを嫌がって受け入れない施設もある
透析患者は“生活習慣病の凝縮”といえます。心臓疾患でいえば、先ほど説明したように血管の石灰化が助長されるので大動脈弁狭窄症も起こしやすくなります。そうなるとカテーテルによるTAVIの適用から外れてしまうため開胸手術が必要です。透析による動脈硬化に対処するため血液をサラサラにする抗凝固薬などを飲んでいる患者さんは、脳や消化器の出血も起こしやすくなります。次から次へと新たな病変が出てくるケースも珍しくありません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」