耳鳴りめまい難聴…聴神経腫瘍かも

誤診の要因 聴神経腫瘍の半数以上に突発型難聴や耳鳴りが

年齢が若くても念のため調べることが重要(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 耳鼻咽喉科の学会に発表しようと私が取ったデータでは、聴神経腫瘍の50%以上の人が突発型の難聴や耳鳴りを発症しており、突発性難聴と診断されかねない状況でした。逆に突発型の難聴の1~3%が聴神経腫瘍であるとの報告もあります。この数がくせもので、このまれな聴神経腫瘍を探し出すために全員にMRIを行うのか? これは医療経済的な観点からして、すすめられることではありません。

 しかし、少なくとも若い患者さんで見落とすことは、のちに大きなしっぺ返しを被ることにつながります。20~40代くらいの年齢で、耳が聞こえなくなるのは不自然と考え、突発性難聴かもしれないが、念のためMRIで聴神経腫瘍が隠れていないか調べてほしい――。そのように耳鼻咽喉科の先生にいつも言っています。

 小さい聴神経腫瘍だとMRIで見落とされる可能性があります。よく知っている医師などは、内耳の近くを細かく切ってMRIで調べるようにオーダーします。それにより見つかる確率も上がります。

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河野道宏

河野道宏

東京医科大学病院脳神経外科主任教授。聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍・頭蓋底髄膜腫手術のエキスパート。

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