松平健 若さの秘訣

音楽で認知機能改善が 新曲は老人ホームでの体操も想定

松平健さん
松平健さん(提供写真)

 ド派手な衣装で歌って踊る「マツケンサンバⅡ」が大ヒットしたのは2004年のこと。暮れのNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。

「この前、認知症予防の専門医と話す機会があり、たまたまサンバの話になった。先生がおっしゃるには、高齢者の認知機能改善には『音楽を聴く』『曲調に乗って体を動かす』といった行為がいいらしく、特にサンバ調のああいう楽しく踊れる歌がいいらしいのです」

 満を持して先日発表したのが、「マツケン・アスレチカ」だ。アスレチカとは、まさに運動の意味。作詞・吉峯暁子、作曲・宮川彬良、そして振り付けはマジーこと真島茂樹が担当と、「マツケンサンバⅡ」と同じスタッフが全面的にバックアップ。ド派手な衣装はさらにスケールアップしている。

「マツケンサンバに関しては、高齢者層を意識して作ったものではありません。舞台公演の歌謡ショーのフィナーレを飾る曲としてふさわしい、華やかさを考えて作ったもので、実際のところ、ヒットする10年も前から歌っていた曲なのです」

 テレビCMやCS放送で注目され、10年後にたまたま評価された。真島とは生まれも育ちも違うが、同学年ということもあって20代のころから気心が知れた。元日劇のトップダンサーであった真島は、後に森繁久弥のミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」や、「王様と私」、舞台「星降る里」などに欠かせない俳優として活躍した。松平は若いころに日劇の大ファンで、劇場に通っていたという。

「今回のアスレチカについては、老人ホームでの体操も想定していますし、お年寄りの方々に元気になってもらいたいという思いは強くあります。私自身、大きな声を出すことによって元気になりますし、とにかくお風呂場などで声を出してもらいたい。24歳で『暴れん坊将軍』をやって、ありがたいことにそのころから応援してくれる人たちがいます。あれから30年、40年ですので、もう80歳くらい。中には亡くなった人もいますしね」

 松平自身は父を16歳で、母も10年後の26歳の時に亡くしているので介護経験はない。だが、亡き両親の老後の世話をする光景をファンに重ねているに違いない。

「両親はともに明治時代の生まれですから、生きていれば100歳を越えています。母は69歳で他界しましたので、今にして思うとまだ若かった。本当はもっと親孝行したいという思いをずっと持ち続けていました。全然しゃべらない女性でした。酒乱ぎみの父が酔って私に暴言を吐いたりする時は、いつもかばってくれた。まだ小学生の低学年のころは、身長150センチしかなかった母の“大きな背中”に隠れていた記憶があります。一番下の末っ子だから、とくにかわいがってくれましたね」

 松平は調理の腕前もプロ並みとして有名だが、どうしても勝てない母の料理があるという。それは、肉の代わりにちくわが入った「ちくわカレー」だった……。

松平健

松平健

1953年11月、愛知県豊橋市生まれ。7人きょうだいの末っ子。78年、24歳の若さで「暴れん坊将軍」の主役を務める。2004年に「マツケンサンバⅡ」が大ブレークし、NHK紅白出場。新曲「マツケン・アスレチカ」(徳間ジャパン)を発表。

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