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咳・痰が長引く…胸部レントゲンの他にプラスしたい検査は

フィルターにカビが蓄積して…
フィルターにカビが蓄積して…(C)日刊ゲンダイ

 患者さんの訴えで最も多いのは、咳と痰です。インフルエンザが疑われる時は、「咳が出て風邪かな」と受診された人にも、発熱や関節の痛みなどがあれば、念のためインフルエンザウイルスの有無を調べる検査を行います。

 鼻に入れた綿棒に付着した分泌物から、ウイルスの有無をチェックするもの。皆さんも受けたことがあるかもしれません。

 咳や痰、喉の痛みなどの症状で、喉が腫れていたら、典型的な風邪。そんな時、特別な検査はしません。むやみに検査を重ねるより、通常の治療で対応する方が、医療費の点からも合理的でしょう。

 問題は咳や痰が長引く時です。風邪もインフルエンザも長くても1週間で良くなります。ところが、患者さんは症状がありふれた咳や痰だと軽く考えがちで、再受診に結びつきません。それでこじれてしまうのです。

 では、どんな検査が必要かというと、まずは胸部レントゲン検査です。咳が強くなった、咳が2週間以上続くといった時は、喉の炎症が奥の気管支や肺に移行したことが推察されるため、そこを調べるのです。肺炎と診断されたら、どんな細菌が原因か。痰を採取して遺伝子を調べる喀痰検査をしたり、迅速診断キットを使ったり。薬の使い分けに大切です。

 もうひとつ見逃せない肺炎が過敏性肺炎。カビや細菌などを断続的に吸い込むと、アレルギー反応が生じる病気です。たとえば、エアコンのフィルターや風呂場の壁、風通しの悪いクローゼットなどはカビが繁殖しやすい。

 カビでピンときた皆さん、そう、カビが原因のケースでは、暖かくなるこれからの時季に悪化しやすいのが過敏性肺炎の特徴で、しばしば夏型過敏性肺炎と呼ばれます。咳や倦怠感、微熱などで夏風邪のような症状が続き、風邪の薬を飲んでも良くならない。ところが、秋になって涼しくなると良くなって……。知らずにいると、毎年夏にぶり返すのです。

 では、過敏性肺炎を見つけるには、どうするかというと、血液検査でアレルギーの原因となる抗体をチェックするのが一番。ほかの肺炎と見分けるため、炎症反応の検査や胸部CT、呼吸機能検査などもプラスします。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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