実は近年、国内外の研究者らが、毛細血管がさまざまな病気や不調と関係していることを論文で発表している。高倉教授が特に注目した内容を2つ挙げよう。
【骨粗しょう症】
2014年、世界的に権威のある医学雑誌「ネイチャー」に掲載された。
「骨の先端部にある海綿骨は関節のクッションとなる部分で、この周囲に毛細血管が大量に存在していることが明らかになりました。そしてこれらの毛細血管が劣化して、不安定な状態になると、栄養や酸素が行き渡らず、新陳代謝が行われなくなる。健康な毛細血管では、その血管内皮細胞から生理活性物質が分泌され、骨芽細胞が新しい骨をつくりますが、それも行われなくなり、骨粗しょう症を発症するのです」
【認知症】
認知症で最多を占めるアルツハイマー病は、脳にアミロイドβというタンパク質が蓄積することが引き金だが、毛細血管も関係していることが明らかだ。