それによって鼓膜の一部が中耳側に陥没して穴ぼこのようなものができると、耳垢などがたまって「真珠腫」という白い塊になる。それが骨を溶かし、周囲の骨や耳小骨を破壊する。
「これが真珠腫性中耳炎です。放置すると、難聴、めまい、耳だれが生じ、顔面神経麻痺や髄膜炎、脳腫瘍などの原因にもなります」
一方、癒着性中耳炎は、同じく乳突蜂巣の発育不良で粘膜が癒着した状態。やはり、難聴、めまい、耳だれなどが起こる。これら2つの中耳炎に共通しているのは、手術を行っても再発を繰り返しやすいことだ。
「真珠腫性中耳炎は真珠腫を取り除き、癒着性中耳炎は癒着した粘膜を剥がします。鼓室形成術という手術ですが、乳突蜂巣の異常は変わらないため、手術をしてもまた同じ症状が出てくることがあるのです。特に癒着性中耳炎は、鼓室形成術をしても症状がほぼ改善されないケースがほとんどで、治療困難でした」