耳鳴りめまい難聴…聴神経腫瘍かも

たとえ聴神経腫瘍が小さくても10~40代の患者は手術が必要

一生涯つきあっていく…(C)PIXTA

 外来を受診される聴神経腫瘍の患者さんのうち、だいたい10人中3人が手術、7人が経過観察か放射線治療……というところでしょうか。

 最近は、手術と放射線治療の併用療法も行われるようになりました。最初に手術で腫瘍のボリュームを減らしておき、そして放射線治療を行います。

「腫瘍の摘出度が低いため、顔面神経麻痺や聴力喪失のリスクを減らす」というのが手術と放射線治療を併用する理由ですが、私は若い患者さんには積極的には行っていません。なぜなら、まず長期成績がないこと、また腫瘍は消えることはなく、一生涯、腫瘍とつきあっていくことが前提の治療ですので、根治性を要求される若い患者さんには適合しないと考えているからです。

 どの治療が、その患者さんにとって最も良いかという選択をするには、これまでの手術の経験数がモノを言います。次回は、それについて具体的にお話ししましょう。

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河野道宏

河野道宏

東京医科大学病院脳神経外科主任教授。聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍・頭蓋底髄膜腫手術のエキスパート。

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