日本では、国立がん研究センター東病院で再発頭頚部がんに対する臨床試験が行われていて、好ましい結果が出ていると聞きます。東病院では、近く食道がんを対象とした臨床試験もスタートする予定です。
■腫瘍の場所がネックに
注目の薬剤は、「ASP―1929」と呼ばれる物質。近赤外光線に当たると反応して、熱を発する性質があります。がん細胞のみに結合する抗体に、その仕組みを持たせ、注射で体内に入れ、ランプや内視鏡などで近赤外光線を当てると、化学反応の熱によってがんだけが死滅するのです。正常細胞に害を与えることはありません。
この薬剤が結びつく受容体はEGFRで、頭頚部がんのほか、肺がんや乳がん、大腸がん、食道がん、膵臓がんにも存在します。
理論上は、これらのがんにも効果があるはずで、全身のがんの8~9割は光免疫療法の対象になるといわれています。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁