生活と健康 数字は語る

加齢で炭水化物が増加 栄養素の摂取割合は年齢ごとで異なる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今回からは、栄養素の話題です。栄養素とは、炭水化物とかタンパク質とか脂肪とかいうものです。

 炭水化物とは、ご飯、パン、うどん、お菓子のようなものです。いずれも体内では糖分となり、生きるためのエネルギーのもとになります。人間はこの糖分を酸素で燃やして生きているのです。タンパク質はカラダをつくる成分となる栄養素です。細胞や細胞が集まってできる臓器はタンパク質でつくられています。またエネルギーとして使うこともできます。脂肪は炭水化物同様エネルギーのもとになりますが、もとになるだけではなくエネルギー源の蓄えとして重要な栄養素です。

 その3つの栄養素がエネルギーに換算してどんな割合で取られているか、国民健康・栄養調査で詳細に調査されています。2017年度の調査では、大ざっぱに言うと60%が炭水化物、25%が脂肪、15%がタンパク質という結果です。男女で大きな差はありませんが、年齢によって多少違いが見られます。高齢になるほど炭水化物の割合が増加し、脂肪の摂取割合が減少します。タンパク質の割合はほぼ一定です。

 この結果を聞くと、年を取ると炭水化物の摂取が増えて、脂肪が減るのかと思うかもしれません。

 さらには、炭水化物の取りすぎと脂肪の摂取不足が老化を招くのかと考える人もいるかもしれません。しかし、このデータは一時点で調べたに過ぎないので、単に各年代の摂取割合が違うということを示しているにすぎません。

 次回からは、この年代ごとの違いをどのように読むことができるのかを説明していきたいと思います。

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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